近年、少子高齢化や地方における人口減少などの理由により、空き家数の増加が社会問題となっています。
放置された空き家は、周辺地域の住環境や土地の資産価値にも悪影響を及ぼしかねませんし、ビジネスチャンスの損失を生んでいる可能性もあります。
今回は空き家対策の最新事例・自治体主導の取り組み事例から空き家事情をご紹介します。
現状の空き家事情
総務省統計局が2019年4月26日に発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、空き家数は846万戸で全国の住戸の13.6%を占め、過去最高を記録しています。
都道府県別に見ていくと、空き家率が最も高いのは山梨県(21.3%)で、2位が和歌山県(20.3%)、3位が長野県(19.5%)となっており、反対に、空き家率が最も低いのは埼玉県と沖縄県(10.2%)です。
割合で見ると空き家問題は地方の問題であり、都市部ではさほど深刻化していないと思えますが、戸数で見ると埼玉や東京、神奈川や千葉では空き家戸数は1位となった山梨県を超える数になっています。
空き家対策特別措置法を制定
国は増え続ける空き家問題に対処するため、2014年に空き家対策特別措置法を制定(2015年に施行)しました。この法律は空き家の放置によって発生するさまざまなトラブルを解消し、空き家の活用や処分を後押しするためのものです。
具体的には、空き家対策特別措置法で“特定空家等”として認定された空き家の所有者に対し、行政は修繕または撤去の指導、勧告、命令を行うことができます。さらに、行政から勧告を受けた場合は、固定資産税と呼ばれる税の特例も解除されることになります。
各自治体の取り組み
各自治体では、老朽化した木造住宅の除去に対して補助金が出る制度を設けたり、改修前に劣化状況等を確認する状況調査や改修に対して補助を行ったり、子ども食堂や高齢者サロンなど地域まちづくりに資する用途への改修等の補助を行っています。
また「中古住宅」のマイナスイメージを払拭して既存住宅の流通を促す安心R住宅制度や、全国版空き家・空き地バンク等、空き家問題に対処するため、様々な施策を推進しています。
空き家活用事例
近年流行しているシェアリングスペースやシェアハウスは、空き家や空きスペースのもっともメジャーな活用法です。岩手県釜石市では、市内にある空き家に単身者がルームシェアをしながら居住し、自分たちが普段使用しない空室は民泊施設として貸し出すことで、月々の家賃を補填していくという取り組みが開始されました。また京都伊根町では、空き家となった舟屋をリノベーションし伝統建築を残しつつ、カフェと小売店を併設した賃貸物件や、温泉露天風呂が付いたコンドミニアム風の旅館へと再活用されています。
このような地域を挙げた活用法もありますが、もちろん個人でのリフォームやリノベーションは、中古物件の流通を活性化させる上で、効果的な手段の一つです。「所有する空き家を何とかしたい」というオーナーは改修費用を一切負担せずに、物件を貸し出して家賃収入を得ることが可能になるサービスを提供している企業も出てきました。
最後に
財産である不動産を空き家状態のまま放置し、「負の遺産」としてしまってはもったいない!
空き家を持っている方、これから空き家を持つ可能性がある方は、「どうすれば一番得なのか?」をしっかり考え、売却や賃貸を含んだ活用方法を検討してみてはいかかでしょうか。